外壁や屋根に使用する塗料は、美観の形成と建物の保護をおもな役割としています。
しかし経年とともに劣化し塗装としての機能を失うと、美観を損ない建物を守る役割を果たすことはできません。
では、外壁や屋根の塗装はどのように劣化するのでしょうか?
今回は、外壁や屋根の塗装が劣化するメカニズムについて、解説したいと思います。
<塗料の成分について>
外壁や屋根に使用する塗料は、以下の4つの成分で構成しています。
・合成樹脂
・顔料
・添加剤
・希釈剤
塗料は、合成樹脂や顔料、添加剤などの固体成分を、シンナーや水などの液体で希釈してつくられます。
成分の違いによって耐久性も変わります。
<塗料が劣化するメカニズムについて>
塗料の劣化は、さまざまな劣化要因が塗料の成分に働きかけることで起こります。
おもな劣化要因は以下の通りです。
・太陽光
・酸性雨
・風雪
・激しい気温の変化
・自然災害
太陽光
太陽光が劣化要因になるのは、おもに紫外線と熱です。
紫外線や熱が長期に渡って働きかけると、いずれも塗料成分を分子レベルで徐々に破壊します。
また顔料に含まれる酸化チタンは、紫外線が当たると化学反応を起こし劣化因子を発生させます。
これら劣化の過程で、顔料が粉状になって表面にあらわれるのが「チョーキング」です。
色をつくる原料の顔料が劣化すると、褪色にもつながります。
酸性雨
酸性雨が外壁や屋根に降り注ぎ、乾燥と湿潤を繰り返す過程で徐々に酸性成分が濃縮されて残ります。
そうなると、塗膜が化学変化を起こすことがあり、徐々に耐久性が損なわれるようになるのです。
風雪
寒冷地では、塗膜のひび割れやその他隙間などから水分が侵入すると、その水分は凍結します。
凍結すると膨張するため周囲へ圧力を加えるようになり、ひび割れも規模を拡大させます。
また外壁材や屋根材が吸水すると、凍結と溶解を繰り返しながら塗膜を内側から押し出すように破壊する「爆裂現象」に発展することもあるのです。
激しい気温の変化
激しい気温の変化があると、素材によっては建物の躯体も伸縮を繰り返します。
経年劣化によって仕上げの塗装が硬くなり、躯体の激しい動きに塗膜が追従できない場合はひび割れや剥がれを起こすようになります。
自然災害
地震や台風によって、塗膜に物理的な力が加わると塗膜を破損させることがあります。
塗膜の破損をきっかけとして水分が侵入すると、外壁材や屋根材、躯体なども吸水するようになり、カビや腐朽につながるケースもあります。
<自己点検も効果的>
外壁や屋根など塗装の劣化を避けることはできません。
しかし劣化の進行を抑えることは可能です。
それには、劣化の状況を把握し、症状に応じてメンテナンスをすることが重要になります。
自己点検で気になる部分がある場合は、プロの業者に相談のうえ対応してもらうようにしましょう。
おもな点検内容をご紹介いたします。
塗装
変色や褪色、チョーキングなどの軽い症状は、慌てる必要はないものの塗り替えの検討を始める時期になります。
浮きや剥がれがある場合は、保護機能は失われている可能性があります。
できるだけ早く塗り替えなどのメンテナンスを実施しましょう。
コーキング
コーキングは塗装よりも早く劣化が進むことがあるため、注意深くチェックすることが重要です。
剥離や破断など、水分が侵入する可能性が高い場合は、早急に打ち替えによるメンテナンスが必要になるでしょう。
外壁材
へこみ、キズ、変形など欠損がある場合は、吸水する可能性があるため外壁材を補修して塗装する必要があります。
とくに痛みが激しい場合は、外壁材の交換や下地の補修が必要になるケースもあるでしょう。
<まとめ>
外壁や屋根の塗装は、いつか必ず劣化します。
塗装の劣化は建物の寿命にも影響することもあるため、適切な措置をとることが重要です。
1年に1回程度は目視で確認できる範囲でチェックしてみることをおすすめいたします。 ただし屋根など高所の点検は危険がともなうため、プロの業者に依頼するようにしましょ